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6月

ルアーを使ったニホンミツバチの分蜂群捕獲の成果を検証

2013年6月16日

ルアーに引き寄せられたニホンミツバチ
(巣箱からぶら下がっている丸いものがルアー)

 去る6月8日、バイオ環境館で「待ち箱ルアー研究会」を開催しました。地元亀岡はもちろん、京都市や箕面、綾部などから、実験に協力して頂いたいわゆる「週末養蜂家」30人あまりにご参加頂いたほか、新聞社の方々にも取材して頂きました。

 ニホンミツバチの養蜂では、巣箱をつくって適当な場所に置き、そこに大きくなった群れから分かれたミツバチ(「分蜂」(ぶんぽう)と呼ばれます)を捕獲することで、ハチの群を増やします。

 もちろん、ただ巣箱を置いておくだけでは駄目で、ハチを引き寄せる工夫が必要なのですが、これには従来からキンリョウヘン(金稜辺)という蘭が使われてきました。この花の香りの成分がニホンミツバチを引き寄せることが知られていて、分蜂の季節である春にこの花を巣箱の近くに置いておくと、分蜂群が誘引されて巣箱に入居する、というわけです。

キンリョウヘンの花

 我々、生物有機化学研究室では、6年前からこの誘引メカニズムを研究し、キンリョウヘンの誘引成分が3-ヒドロキシオクタン酸(3-hydroxyoctanoic acid、3-HOAA)と10-ヒドロキシデセン酸(10-hydroxydecenoic acid、10-HDA)という化学物質であることを明らかにしました。そして昨年、これを適当な比率で混合することで、キンリョウヘンの作用を真似ることに成功したのです。

 今春、この誘引剤を特殊な材料に保持させたルアー(誘引剤)を作り、ご協力頂ける養蜂家の方々にお配りしました。そして様々な条件下でキンリョウヘンの代わりに使って頂き、その効果を調べてもらいました。今回の会はその成果を持ち寄って、みなで検証することを目的としたものです。

 実は、今年はキンリョウヘンの開花時期が遅れてしまい、分蜂の季節にキンリョウヘンの花が手に入らない、という養蜂家泣かせの年でした。

統計的にも明らかに効果が見られた
(右端の円グラフの黄色い部分が
今年のルアーによる分蜂数)

 しかし、我々の試作したルアーの効果は絶大で、「ルアーを使って20群増やした」とか、「これまで何年やってもゼロだったのが、今年は一気に4群取れた」などの報告が寄せられました。ルアーと、誘引剤を添加していないコントロールとの比較試験では、28対2の圧倒的な差でルアー群に誘引されるという明確な差が出たのです。

いっぽう、「うちではあまり効果がなかった」というケースもいくつかあって、ルアーの改良や使い方のコツを考えるヒントがいくつも得られました。

 もちろん、人工的な誘引剤を使ってたくさんの巣を作らせることの生態系への影響は考慮しなくてはいけませんが、農薬がミツバチの大量死を引き起こすことが疑われており、ハチを増やす工夫も必要です。養蜂家の方が言われていた、「十数年前は(ハチが)困るほど捕れた」という環境を取り戻していくための、ひとつの有力な手段になるのではないか、という思いを強くしました。

 今回の野外試験にご協力頂いた養蜂家の皆さんに、この場を借りて御礼申し上げます。ニホンミツバチ復活のため、今後ともよろしくお願いします。
(生物有機化学研究室 坂本文夫)

6月20日追記:
京都新聞:「ニホンミツバチ誘うフェロモンの人工合成成功」

ハチ博士のミツバチコラム:アカシア蜜はニセアカシアの花から取れる!

2013年6月15日

イラスト:おおくぼ ひとみさん

 アカシア蜜はレンゲ蜜と並んで人気のある蜂蜜で、ニセアカシア(別名ハリエンジュ)の花から集められたものです。ニセアカシアは明治初期に荒れ地の緑化のために導入された外来植物ですが、根粒菌と共生するマメ科植物なので、やせた土地でも生育するという特徴を持っています。しかも、花から良質な蜜が取れ、花自体もてんぷらにすると美味しいというから有難い植物です。

 でも、アカシア蜜の蜜源がニセアカシアというのは不思議な話ですね。なぜニセアカシアなのか。実は、導入時から相当期間アカシアと呼ばれて来ましたが、学名がシュードアカシア(ニセアカシアという意味)だったので、学名上の本物が導入される時にニセアカシアという不名誉(?)な呼び名に変えられたらしい。さすがにニセアカシア蜜とは言えないから、蜜の名前はそのまま残ったという訳です。

 学名上の本物のアカシアはフサアカシア(別名ミモザ)です。ミモザの鮮やかな黄色の花は魅力的ですが、そのせいでニセの名前を付けられた元アカシアの肩を持ちたいと思うのは私だけでしょうか。還暦を過ぎた人には懐かしい西田佐知子の歌「アカシアの雨が止むとき」のアカシアも、実はニセアカシアです。初夏の青空に映える美しい白い花は色々なことを思い出させてくれます。(坂本 文夫 中京しんぶん2003年6月15日号掲載)

中京区内の3つの事業所で都市養蜂開始

2013年6月2日
 大学サイトでもニュースがありましたが、5月29日、京都みつばちガーデン推進プロジェクトで中京区役所と提携している区内の3事業所(京都市立堀川高校丸池藤井株式会社宮井株式会社)に、本学で飼育されていたニホンミツバチ3群を移設しました。それぞれの事業所(4ないし5階建ての建物)の屋上に1群ずつ運び込み、日除け等の処置をした上で巣門を開きました。蜂たちは、はじめは新しい環境に驚いたように巣箱の周囲を飛び回っていましたが、徐々に行動範囲を広げて蜜源植物の探索を始めていました。

 中京区役所の屋上では立派な花壇が出来上がり、現在4群のニホンミツバチが飼育されているのに対して、今回の3事業所の屋上は花壇の無いスペースです。周辺には街路樹やベランダなどでのプランター植栽はあるものの、ニホンミツバチが上手く蜜源植物を探索して、定着するかどうか注意深く見守って行く予定です。今回の3群は今年分蜂した元気な群なので、困難を克服して生き延びると期待しています。
(生物有機化学研究室 坂本文夫)

据え付けているところ

丸池藤井株式会社

宮井株式会社

京都市立堀川高校

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