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ホーム  > バイオ環境学部 ニュース  > ルアーを使ったニホンミツバチの分蜂群捕獲の成果を検証

ルアーを使ったニホンミツバチの分蜂群捕獲の成果を検証

ルアーに引き寄せられたニホンミツバチ
(巣箱からぶら下がっている丸いものがルアー)

 去る6月8日、バイオ環境館で「待ち箱ルアー研究会」を開催しました。地元亀岡はもちろん、京都市や箕面、綾部などから、実験に協力して頂いたいわゆる「週末養蜂家」30人あまりにご参加頂いたほか、新聞社の方々にも取材して頂きました。

 ニホンミツバチの養蜂では、巣箱をつくって適当な場所に置き、そこに大きくなった群れから分かれたミツバチ(「分蜂」(ぶんぽう)と呼ばれます)を捕獲することで、ハチの群を増やします。

 もちろん、ただ巣箱を置いておくだけでは駄目で、ハチを引き寄せる工夫が必要なのですが、これには従来からキンリョウヘン(金稜辺)という蘭が使われてきました。この花の香りの成分がニホンミツバチを引き寄せることが知られていて、分蜂の季節である春にこの花を巣箱の近くに置いておくと、分蜂群が誘引されて巣箱に入居する、というわけです。

キンリョウヘンの花(白花)
(Wikipediaによる)

 我々、生物有機化学研究室では、6年前からこの誘引メカニズムを研究し、キンリョウヘンの誘引成分が3-ヒドロキシオクタン酸(3-hydroxyoctanoic acid、3-HOAA)と10-ヒドロキシデセン酸(10-hydroxydecenoic acid、10-HDA)という化学物質であることを明らかにしました。そして昨年、これを適当な比率で混合することで、キンリョウヘンの作用を真似ることに成功したのです。

 今春、この誘引剤を特殊な材料に保持させたルアー(誘引剤)を作り、ご協力頂ける養蜂家の方々にお配りしました。そして様々な条件下でキンリョウヘンの代わりに使って頂き、その効果を調べてもらいました。今回の会はその成果を持ち寄って、みなで検証することを目的としたものです。

 実は、今年はキンリョウヘンの開花時期が遅れてしまい、分蜂の季節にキンリョウヘンの花が手に入らない、という養蜂家泣かせの年でした。

統計的にも明らかに効果が見られた
(右端の円グラフの黄色い部分が
今年のルアーによる分蜂数)

 しかし、我々の試作したルアーの効果は絶大で、「ルアーを使って20群増やした」とか、「これまで何年やってもゼロだったのが、今年は一気に4群取れた」などの報告が寄せられました。ルアーと、誘引剤を添加していないコントロールとの比較試験では、28対2の圧倒的な差でルアー群に誘引されるという明確な差が出たのです。

いっぽう、「うちではあまり効果がなかった」というケースもいくつかあって、ルアーの改良や使い方のコツを考えるヒントがいくつも得られました。

 もちろん、人工的な誘引剤を使ってたくさんの巣を作らせることの生態系への影響は考慮しなくてはいけませんが、農薬がミツバチの大量死を引き起こすことが疑われており、ハチを増やす工夫も必要です。養蜂家の方が言われていた、「十数年前は(ハチが)困るほど捕れた」という環境を取り戻していくための、ひとつの有力な手段になるのではないか、という思いを強くしました。

 今回の野外試験にご協力頂いた養蜂家の皆さんに、この場を借りて御礼申し上げます。ニホンミツバチ復活のため、今後ともよろしくお願いします。
(生物有機化学研究室 坂本文夫)

6月20日追記:
京都新聞:「ニホンミツバチ誘うフェロモンの人工合成成功」

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