マスコミ」に興味ある人たちへ

福永 勝也 教授
福永 勝也教授
専門はジャーナリズム論とアメリカ学。担当科目は「ジャーナリズム論」「マスコミ論」「マスコミ文章講座」など。慶應義塾大学経済学部卒。元毎日新聞社編集委員(学芸部、経済部)、マイニチ・デイリーニューズ(英文毎日)編集長、世界報道研究所(米国)日本代表研究員、米国務省招聘フェロー。大阪日米協会常任理事。著書に『こんなアメリカを知ってるか』『外交官の見たニッポン』『日米映像文学は戦争をどう見たか』など。
ゼミでは新聞記事やテレビニュースを”教材”にして学生たちの情報分析力を養っています 現代社会では想像を絶する情報が満ちあふれ、私たちは未曾有の“情報洪水”の中で生きることを余儀なくされています。政治も経済も人々の生活も情報によって左右され、それはインターネットの爆発的普及によって一層加速されています。私たちはまさに歴史的な「情報革命」の真っ只中にいるわけで、その主役がメディアなのです。  新たなメディアとしてのインターネットが“変革の旗手”として脚光を浴びるのは当然ですが、新聞やテレビ、雑誌といったマス・メディアが依然として圧倒的影響力を維持しているのも事実です。“変人”と言われた小泉元首相が政治力を発揮できたのも、これらマス・メディアを巧みに利用したからに他なりません。黒人初のオバマ米国大統領の誕生、さらには政権を左右する内閣支持率調査や新型インフルエンザ報道なども、これらマス・メディアの存在を抜きにしては語れません。
 私は三十二年間のジャーナリスト経験がありますが、現在はそのジャーナリズム世界を外から眺め、これまで当たり前と信じて疑わなかった様々な点を検証しています。いわば、現場経験者によるメディア・リテラシーでありますが、新聞だけではなくテレビや雑誌、さらにはネットなどの領域も対象としております。
「マスコミ文章講座」では学生一人ひとりに添削指導してライターを養成しています  これまでにテレビニュース革命の実態やブッシュ政権に操られたイラク戦争報道、「小泉劇場」に翻弄されたテレビメディア、さらには雑誌ジャーナリズムの功罪や政治報道の公平性、犯罪報道と人権、ネット社会の未来といった課題に取り組んできました。それらの過程で、民主社会の根幹であるべきジャーナリズムが内外を問わず衰退の兆しを見せていることに、少なからず衝撃を受けております。その主たるものが、コマーシャリズムの浸透による社会的批判力の後退といえるかもしれません。これからは、この問題にメスを入れようと考えています。

米ABCテレビ「ナイトライン」のアンカーマン、テッド・コペル氏(左端)と議論する福永教授(右端)  そのためには、日々の新聞やテレビの報道姿勢、さらにはその内容の真偽を厳しくチェックする必要があります。これこそメディア・リテラシーの作業なのですが、これを学生と一緒に行うことによって、少しでもプロフェショナルに近いバランスのとれた「情報人」の目を養いたいと考えております。マスコミ論やジャーナリズム論を学ぶ作法は、現実に起こっている様々な社会事象をリアルタイムで分析、検証するという点において、他の学問とは根本的に異なっています。また「マスコミ文章講座」にしても、私が新聞社時代のデスクに戻って学生の文章添削に専念し、「書くプロ」の実践的養成を目指すことにしています。  このような姿勢は、私がジャーナリストであるということに加えて、米国滞在で培った「大学教育は実社会で役に立たなければ無意味」という信念を持っているからに他なりません。学生には新聞記者やテレビ局の放送記者、出版・雑誌のライターや編集者、フリージャーナリスト、作家、メディアクリエイターといった情報最先端の職業を目指して欲しいと期待しております。そのために、私のキャリアがお役に立てれば、これ以上の喜びはありません。