特色ある学びのプログラム|社会学系コース偏 ミュージシャンのインタビューで社会調査を学ぶ

メディア社会学科2回生が履修する「社会学調査演習」には、ミュージシャンを対象にインタビュー調査をおこなうという大変ユニークな授業もある。
長く音楽活動をおこない、音楽界にネットワークを持つ教員の頼みにより、知り合いのミュージシャンたちが大学にやってきてくれるのだ。これまでインタビューに応じてくれたのは、シンガーソングライター、ブルース・ギタリスト、ロック・ベーシスト、ジャズ・ドラマー、サックス奏者、チェロ奏者、作曲家など。いずれも個性的な表現者たちだ。

「語り」ながら見えてくるアーティストの世界

内藤大輔氏

インタビューの前には入念な準備を行なう。インターネットや文献でミュージシャンの情報を集め、グループで話し合いを重ねて、調査計画を立てる。準備が整ったら、いよいよ当日だ。
ミュージシャンが楽器を担いで授業にやってくる。拍手で出迎えると、ミニ・ライブのはじまりだ。まずは「音」で語ってもらう。百戦錬磨のミュージシャンたちも「教室でライブしたことなんてないよ」と緊張気味だが、演奏が始まると一瞬にして学生たちの心を魅了してしまう。印象はしっかりメモしておく。
貴重な生演奏を聴かせてもらったら、グループに分かれてインタビューを開始する。録音機材をセットしたらスタート。
質問は事前に準備してある。けれどもミュージシャンの語りはアドリブ演奏みたいにどんどん発展していくから、それにあわせて、インタビューをふくらませていくことも大切だ。よい聞き手になれば、より豊かな語りを引き出すことができる。血肉の通った《生きた言葉》に出会うこともできる。
ミュージシャンはそれぞれに独特の世界観を持っている。だからインタビューは驚きと発見に満ちた「異文化体験」だ。学生たちはインタビューによって「異世界」の輪郭を明らかにしていくのである。

人と社会を自分の眼でとらえ、世の中に発信する

World of Musicians

インタビューを終えると、次は、メモと録音をもとに「語り」を文章化する作業にとりかかる。「テープ起こし」は他者の言葉に向きあう大事な作業だ。語られた言葉が文字になったら、今度は内容の分析を試みる。ミュージシャンたちはどのような世界観や価値観を持っているのか。音楽をクリエイトするとはどのような経験なのか、などテーマごとに考察を深める。
考えがまとまったら調査報告書の作成にとりかかる。ミュージシャンの意見や人権にも十分に配慮しながら作業を進める。レイアウトやデザインも学生が自分たちで考える。こうして一年がかりで「自主制作」した報告書『World of Musicians』が完成する。最後はお世話になったミュージシャンたちをご招待して、打ち上げだ。
こんなふうにコミュニケーション能力やグループワークの力をつちかいながら、インタビュー調査の初歩を「楽しく体験的に学ぶ」ことができるのが、この授業の特徴だ。音楽に興味がある人なら、いっそう楽しく学ぶことができるだろう。