特色ある学びのプログラム|心理学コース 社会心理学 仮想現実空間を利用した実習授業

教育・研究利用が広がる仮想現実空間

仮想現実空間とは、ご存知3Dネットゲームの世界ですが、ゲームのみならず、教育研究、そして企業や公的機関で利用されています。最近は、仮想空間と現実世界を融合させる拡張現実の技術開発が活発になっています。広い世界の人々が、遠隔地にいながら協力しあうためには、文字情報を中心とするインターネットブラウザだけではなく、空間に配置された視覚情報の共有を必要とすることがあります。そのような共同作業場面に、仮想空間や拡張現実が必要とされます。ここでは、OpenSIMと呼ばれるオープンソースを使った授業をご紹介しましょう。

OpenSIMと呼ばれる技術は、もともとセカンドライフと呼ばれた商用の仮想空間を、個人のサーバーに構築できるように公開されたものです。アバターと呼ばれるユーザーの分身を、ネットワーク上に構成された3次元空間に参加させて、他のアバターとコミュニケーションを行ったり、自由に景観や建築物を制作するといった活動に供されています。京都学園大学心理学科では、大学LAN内にこのような仮想空間を作って、仮想空間における自己意識や共同作業の研究に用いるとともに、授業においても活用しています。

特色ある学びのプログラム|心理学コース偏 社会心理学 仮想現実空間を利用した実習授業

社会心理学の実験・演習授業

社会心理学の授業では、参加者としてゲームを体験すると同時に、観察者としてゲームの過程を分析し、さらに自身でゲームを設計しながら学びを深めていく「シミュレーション&ゲーミング」と呼ばれる教育プログラムを実施しています。

近年のバブル崩壊が示すように、社会現象の予測はいまだに統計や数式では解くことのできない困難な課題です。予測できない理由は、単に問題が「複雑」だからではありません。株の売り買いのようにルールそのものは単純であっても、お互いに影響しあう人々の活動が、時間の経過によって様々な展開を導くからです。シミュレーションとは、このような「解けない」問題を考えるために、さまざまな条件で結果がどう変わるか眺めていこうとする研究手法です。

特にシミュレーション&ゲーミングという場合には、社会のさまざまな課題について、自身が参加することによって課題の現実を体感・観察します。それが現実の組織や国際関係の理解などに応用できるかどうかを考察し、解決すべき課題についての知識や論理的に意見を主張する能力を身につけることが教育の目的となります。ゲーミングによる学びの手法は、たとえば自然環境の保護と社会の発展とを両立させる策を見いだすためなど、実際にコミュニティなどで活用されています。本学では、このような体験ゲームと並行して、理解を深めるためのPC上のシミュレーションと、仮想空間における実験・観察を組み合わせた授業を行っています。

これからの教育、社会に向けて

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インターネット上の新しい技術は仮想現実空間だけではありません。インターネットによって結ばれたネットワークを教育や仕事に利用する技術は現在発展途上で、これから多様な技術やシステムが生まれてくるでしょう。これからのインターネット社会において、私たちは使用者であるだけでなく、新しいコミュニティの開発・運営者として参加せざるを得ません。

これまで仮想空間はネットゲームや経済活動ばかりが注目されてきましたが、その本当の長所は、いつでもどこでも世界中の人々と体験を共有できるバリアフリーの世界であることです。遠い未来の話ですが、仮想空間における人々の出会いが日常のものとなれば、国や人種のとらわれから自由な人々が現れるのかもしれません。本学の学生には、ネットと現実社会が穏やかな世界に変化する先達となってくれることを願っています。