第1回 10/14(火)京都府教委認定フリースクール アウラ学びの森 知誠館

第1回 京都府教委認定フリースクール アウラ学びの森 知誠館(亀岡市、初訪問)

<第1回訪問記>
京都府教育委員会認定フリースクール「アウラ学びの森 知誠館」にお邪魔しました!

2014年10月14日(火)、川畑ゼミ9名のうち8名(1名は9月から半年間、バンコクのランシット大学に留学中です)と久保克彦先生の3回生ゼミの1名、4回生川畑ゼミの1名、そして私の計11名は、大学のマイクロバスに乗り込んで、大学から15分ほどの知誠館に到着しました。目の前には小学校のグランドが広がり、広い敷地の住宅街の一角にふつうの住宅の1つのように、しかし、「学びの森」にふさわしいような雰囲気をまとって、知誠館はデンと構えていました。
迎えてくださったのは代表の北村真也先生とスタッフの先生がた、知誠館に通ってきている中学生や高校生、大人のみなさんです。

まずは、2階の会議室で北村先生から「フリースクールにおける取組み」についてのお話をうかがったあと、学習室、そして戸外(庭)に新設された「アウラの森」で過ごし、そして最後に3名の高校生と質疑応答の時間を設定してくださいました。
北村先生は、2000年に私塾「アウラ学びの森」を始められ、その後、たった1人の不登校の子どもとの出会いから2005年にフリースクール・サポート校「アウラ学びの森 知誠館」を開設、現在は中学1年生から24歳までの11名が在籍しています(http://tiseikan.com 見て楽しい、そして中身の充実したホームページです。ぜひご覧ください)。
さて、90分の訪問体験はどんなものだったか…。私がお伝えするより、訪問1週間後に提出されたレポートの中から2編(一部を抜粋)を掲載します。


学生のレポート①

「アウラ学びの森 知誠館」は、京都府教育委員会認定の「フリースクール」である。各学校と連携することによってここに通うことが出席になり、今では成績表に「3」がつくこともある。ここは塾でもなく学校でもないような場所を目指しており、実際、「森」の雰囲気は他にないようなものであった。通う生徒も「素の自分を出せる」場所だという評価を行なっており、そこからは、学校や塾では周りを必要以上に気にしたり、自分を取り繕う必要があるのだということを考えさせられた。
見せていただいた場所の1つひとつに、北村先生たちのいろんな思いや考えが詰まっているようで、とても興味深かった。生徒の勉強する空間の他に、戸外にある教室(興味深い仕事をしているかたに来てもらって、話を聴くところらしい)は他にはないような類のもので、大きな円形の机、周りにはベンチ、さらにその周りを自然の草木が囲んでいた。よくある庭とは異なり、そこにある植物は鑑賞用というよりは自然に生えているもののハーモニーが感じられるもので、美しい景観に仕上がっていた。室内にも木が植えてあったり水槽が置いてあったりと、およそ普通の学校の教室では見慣れないものが多く配置されていた。こここにも先生がたの考えが表れているのだろうと思った。
3名の生徒のみなさんとの質疑応答の時間では、今までの自分自身の学校への態度、取り組み方について深く考えさせられた。今まではとくに何も考えず学校へ通い、みんなと同じ授業を受け同じような毎日を繰り返すといったことに何ら疑問を感じることはなかったのだが、なぜそこに疑問を感じず生きてきたのかと疑問を感じてしまった。(後略)


学生のレポート②

(前略)私は2つのことに注目した。
1つめは、私たちからの質問に答えてくださった生徒さんの「(知誠館は)“不登校”している子として扱うのではなく、“人間”として扱ってくれる」という言葉に惹き寄せられたことである。
人には存在する人間の分だけ、あるいはそれ以上に多くの人格が存在し、それは1人ひとり異なっている。だが、この世に生を与えられ社会へ出るまでの過程で、みんなと同じ方向を向いていれば正しい、逆に違う方向を向いていれば間違っている等、無意識のうちにそのような価値観をもつことで、私たちは自分と異なる者を「別者」としてとらえ、一括りに扱うようになってしまっているのではないだろうか。人格が多様に存在するように、生き方も多様に存在する。そのそれぞれをまず1人の人間(人格)としてとらえ、理解し受け入れることが大切なのだと、あらためて考えた。
2つめは、北村先生が「学ぶ」ということに対する信念をぶれずに持ち続けておられることによって、生徒さんたちは安心感を得られているのではないだろうかということだ。北村先生のありのままで作り、やりがいを感じておられる「アウラ学びの森」という場所は、生徒さんたちの心の閉ざされた部分を照らす1筋の光ではないだろうか、そう感じた。(後略)


北村先生、3名の高校生のみなさん、その他の塾生やスタッフの先生がた、ありがとうございました。
(了)

第2回 10/28(火)特別養護老人ホーム 亀岡たなばたの郷

第2回 特別養護老人ホーム 亀岡たなばたの郷(亀岡市)

<第2回訪問記>
特別養護老人ホーム「亀岡たなばたの郷」にお邪魔しました!

2014年10月28日(火)、3回生川畑ゼミの7名(体調不良による欠席者1名と海外留学中の1名を除く)と久保克彦先生3回生ゼミの3名、歴史民俗・日本語日本文化学科の3回生1名、そして私の計12名は、大学から車で5分くらいのところにある「亀岡たなばたの郷」にうかがいました。近いこともあって私の車でピストン輸送…3回も走らせると結構手間でしたが、狭い空間に何人もが短時間でも詰め込まれると家族みたいな気にちょっとなりました。
大学行きのバスの車窓からも見えるその施設はできてまだ5年ちょっとで、とても綺麗です。そして増床するということで、横の敷地には新しい建物が建築中でした。

迎えてくださったのは井本太(いもと・ふとし)施設長と2名のスタッフのかたがたでした。まずは井本施設長から、主に「特別養護老人ホーム」と「介護保険」についてのお話をうかがいました。「京都学園大学人間文化学部臨床心理学専攻施設見学資料」と書かれた表紙の、とてもきれいでわかりやすい総17ページの資料を用意してくださっていました。学生や私からいくつかの質問をさせていただきましたが、お話もご回答もとてもフランクにわかりやすく、面白くしていただきました。

そのあとは施設見学でした。ショートステイやデイケアも含めた利用者のかたがたの個室や共有スペースに入らせていただき、みなさんに向けて紹介された学生たちは「男前やなあ」「美人やなあ」と声をかけてもらい、照れていました。浴室に備えられた介護用の機械を実際に動かしていただいたりして、「へぇ~」という感嘆の声が聞かれました。
陽気なかた、静かなかた、車椅子に座って何かを作っておられるかた、個室のベッドで休んでいるかた、そんな利用者のかたがたの間を、しなやかに、静かに、明るく、優しく行き来しておられるスタッフのみなさん。日常の昼下がりの落ち着いた安心できる空気が流れていました。学生たちも、そんな雰囲気のなかで、自分のおじいちゃんやおばあちゃんのことを思い出していたかもしれません。
さて、90分の訪問体験を学生たちに語ってもらいます。提出されたレポートの中から2編(一部を抜粋)を掲載します。


学生のレポート①

(前略)1つのフロアに個室が6~8部屋くらいあり、それが共有スペースを囲んでいた。共有スペースにはキッチンやテレビがあり、みんなで使っておられた。1フロアが1つの家族のようだった。そこに住んでいるおばあちゃん、おじいちゃんはとても元気だった。あるおばあちゃんは、毎日だんなさんが会いに来てくれると、嬉しそうに話していた。自分で入ることのできないお年寄りが寝たままで入れるお風呂があり、機械が身体を運んでそのまま湯船に浸かることができるので、介護するかたにもあまり負担がかからなくて、いいなと思った。車椅子のまま入れるお風呂もあり、どんどん技術が発展して介護するかたの負担がもっと減ればいいなと思った。
今回、老人ホームについてあらためて知った。1人ひとりに個室が設けられ、必要なかたはお風呂も介助してもらい、食事も用意され、たくさんの友だちもでき、とても快適に暮らせる。しかし、家族と離れて暮らすのはやはり寂しいだろうなとも思った。施設長さんによると、いったん入所したかたで家に帰る人はほとんどおられないそうだ。それは、帰りたくないわけではなく、帰りたくてもいろんな事情があり帰れないのだろうなと思った。また、介護の仕事もはじめて近くで見せてもらったが、みなさん、とても楽しそうにやっておられた。とても大変だけど、とてもやりがいのある仕事ではないかと思った。


学生のレポート②

(前略)私が夏にインターンシップで参加した施設と雰囲気がとてもよく似ていた。スタッフのかたがたや建物の造りの雰囲気がとても明るいところも似ていたし、フロアによってそこにおられる入所者のかたがたのご様子が違うところも似ていた。
(中略)介護の仕事に就いてもすぐにやめてしまう人が多いことをよく耳にする。でも高齢者の数はどんどん増えていき、介護する人の数が足りなくなっていく。そのように、刻々と状況が厳しくなっているのに対して何らかの対策をとらなければ、状況は厳しくなる一方だ。給料をもっと上げて介護職に就く人の数を増やすことはできないのだろうか。授業で観た介護のビデオでも、仕事を辞めようかどうかと迷っている人のインタビューがあって、せっかくやりがいを感じて働いているのに、すごくもったいないことだと思った。生活にはお金が必要だ。今の状況の改善、介護現場で働く人の増加、利用者さん1人ひとりに対する更なる十分な介護を願う。そして、自分の祖父、祖母を大切にしようと思った。出来る限り顔を見せに行きたい。
今回の見学で介護施設の実際を再認識できたと同時に、私たちもいずれ年をとってこのように介護される立場になるということを、より具体的に想像できたように思う。


井本施設長さん、2名のスタッフのかたがた、その他のみなさん、ありがとうございました。帰りには一緒に写真に写ってくださったり、私のピストン輸送を見かねて、一部の学生を大学まで施設の車で送り届けてくださいました。助かりました。
(了)

第3回 11/04(火)児童養護施設 青葉学園

第3回 児童養護施設 青葉学園(亀岡市)

<第3回訪問記>
児童養護施設「青葉学園」を訪問しました!

2014年11月4日(火)、3回生川畑ゼミの7名と久保克彦先生3回生ゼミの2名、そして私の計10名は、社会福祉法人・児童養護施設「青葉学園」にうかがいました。
児童養護施設は、何らかの事情で家庭で生活できない18歳未満の子どもたちが生活する施設で、全国に600ほどがあります。入所している子どもの6割以上は家庭で虐待を受けていたといわれます。子どもたちは、ケアワーカーと呼ばれる児童指導員と保育士、調理師ほかのスタッフから日々の生活の支援を受けながら(心理士も心理的ケアに従事しています)、地域の学校に通っています。青葉学園もその1つで、昭和20年代の設立当初からずっと亀岡の地で重要な役割を果たしています。
私(川畑)は児童相談所職員時代、青葉学園に何度もうかがい、子どもたちのことについて職員のかたがたとよくお話し合いをさせていただいたものです。

私たちを迎えてくださったのは細見園長先生です。園長先生は、施設や子どもたちについての概要と、児童福祉現場からみる世の中の移り変わりや現況について、とても興味深いお話をしてくださって、質問にも詳しく答えてくださいました。
そのあと、施設を見せていただき、代休で自分たちの部屋でゆっくり過ごしている小学生や幼児さんとも挨拶をかわしました。学生たちは、こういう設備のあるこんな建物で、そんなふうに生活してるんだと、それぞれがいろいろ感じただろうと思います。

例によって、90分の訪問体験を学生たちに語ってもらいます。提出されたレポートの中から2編(一部を抜粋)を掲載します。


学生のレポート①

(前略)園長先生のお話を聴きながら、児童養護施設の仕事が、昔の親のいない子どもの世話から、様々な家庭問題を抱える家族と向き合う支援に変わってきていることを知り、「子どもを虐待する家族は間違っている!」といった単純な批判ではなく、そうせざるを得ない側面もある家族への配慮や対応のむずかしさ、虐待された子どもの複雑な心のケアの困難さなどを思った。
中舎のうちの1棟を見せていただいたあと、「青空」と名付けられた小舎制園舎を訪れた。そこは、外も中も「家」そのものの雰囲気を醸し出していて、とても子どもたちへの配慮がなされていることに驚いた。いずれは他の中舎もこのような小舎にかえる予定だとうかがい、子どもたちはその「家」独特の温かい雰囲気にますます癒されることだろうと思った。
今回の訪問をとおして、児童養護施設は、親のいない、または親の元になかなか帰ることのできない子どもへの配慮や対応をどうするのか、また、どのように寄り添っていくのかを子ども1人ひとりごとに考えていかなければならない、とてもたいへんで重要な現場だということを実感した。(後略)


学生のレポート②

(前略)施設の建物は4つあり、その中は施設であると同時に、生活感のある家庭の空気が漂っていた。そう感じた一番の理由は、冷蔵庫に貼ってあるいくつものシールだ。幼い頃は少なからず誰もが冷蔵庫や戸棚、机等にシールを貼った経験があると思う。そのように家庭では違和感なくシールの貼られた冷蔵庫が、同じように施設にもあったのだ。
園長先生からは、現在、児童福祉施設には乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設、自立援助ホームなどがあり、児童1人ひとりに合った対応を心がけているために職員のスキル向上が求められていること、少子化にもかかわらず入所者数が増加している背景には、実親の就労問題や精神疾患、虐待等により在家庭での養育がむずかしいことなどがあるとうかがった。
また、児童養護施設には現在、中学生が多く在籍しており、その親たちが育った時代の反映もそこに見られるかもしれないと、園長先生は述べておられた。私たちは、被害にあっている子どもたちばかりに目が向きがちだが、親たちの生まれ育ってきた時代環境も子どもの養育と結びつきがあるのだと気づいた。
施設が子どもにとって本当の家でなくても、誰かが傍にいること、朝目覚めたときの「おはよう」から始まり、夜眠る時の「おやすみ」までのその挨拶、食事時間の賑やかさ、各月のイベント等、誰もがイメージする家庭の些細な「当たり前」の温もりがあることは、嬉しく安心の元である。私たちが日々「当たり前」だと感じているそれらのことは、「当たり前」であって「当たり前」ではないのだろうか。
その他、子どもたちが心身ともに安定した生活が送れるようにとの心理療法の取り入れ、子どもたちからの声を届けてもらうポストの各棟への設置等、職員のかたがたが子ども1人ひとりに向き合おうとされている姿勢が、短い時間の中で感じ取れたように思う。


細見園長先生、職員のみなさん、そして子どもたち、ありがとうございました。  (了) 

第4回 11/11(火)重症心身障害者(児)施設 花ノ木医療福祉センター

第4回 重症心身障害者(児)施設 花ノ木医療福祉センター(亀岡市)

<第4回訪問記>
花ノ木医療福祉センターを訪問しました!

2014年11月11日(火)、花ノ木医療福祉センターにお邪魔しました。今回は風邪で体調を崩している学生が多く、3回生川畑ゼミの5名と私の計6名の訪問となりました。

花ノ木医療福祉センターは、重症心身障害や発達障害を持つかたがたに、入所による支援と外来診療、短期入所、通園、相談事業などをとおして専門的医療と福祉が融合した支援を提供し、地域の拠点施設の役割を担っておられます。

看護生活支援部生活支援担当部長の今中先生が、私たちを迎えてくださいました。
まず、センターの業務の概要について紹介されたビデオを視聴し、その後、重症心身障害をお持ちのかたが入所しておられる第1、第2、第3病棟に入らせていただきました。
学生たちにとってはおそらく初めての体験だったと思いますが、戸惑いながらも、利用者やスタッフのかたがたに「こんにちは」と会釈をして、みなさんの生活空間に入らせていただきました。
利用者の高齢化に伴う重度化のお話もうかがいながら、みなさんの午後の思い思いの過ごし方、スタッフのかたがたの元気で明るいお仕事の様子に触れ、学生たちはそれぞれにいろんな思いをもったことでしょう。

90分の訪問体験を学生たちに語ってもらいます。提出されたレポートの中から2編(一部を抜粋)を掲載します。


学生のレポート①

「障害をもつ人とはどう接すればいいのだろうか?」私は、障害者と接するとき、いつもこの疑問をもっている。「障害をもつ人も自分たちと同じ人間なのだから普通に接してあげなさい」とよく教えられたが、意識すればするほど普通に接することはむずかしいものである。「普通」って何だ?と思うほどだ。(中略)今回、花ノ木医療福祉センターを訪問したときも、挨拶代わりに(?)こちらへ手を伸ばす入所者のかたと出会い、少し戸惑ってしまった。普通に接しなければいけないと思って気を遣いすぎたように思う。今回の私の反省点だ。
職員のかたがたの気配りや、入所者だけでなく職員にとっても安全で安心な日常を過ごせるような設備が施されていることに、とても興味が惹かれた。車椅子に座らせたりベッドに寝かせるときの介助用具などは、介助者にとって負担が少しでも軽減されるとくによい道具だと思った。(後略)


学生のレポート②

(前略)介助用具の進化、医療チームと生活支援担当職員の連携、各病棟ごとの雰囲気の違い、月ごとに行われるという活動行事、寝る場所と食事する場所を別々に区切った空間など…、医療と福祉が融合した多機能施設とはこんな感じなのだということを、自分の目で確かめた気がした。
今中先生が、私たちからの質問に詳しく答えてくださった。医療資格はもっていなくても必要な医療知識をもつこと、相手に合わせて誠実に対応すること、相手を1人の人格として見ること、障害者だからと子ども扱いせず、年上のかたならとくに敬意を払って接することなどが、入所者に対する心構えだと聴いた。また、入所者にした何らかの働きかけに対して何らかの反応が返ってきたときの喜びは家族と同様のものであり、入所者とのかかわりによって職員は育てられていると感じる場面に遭遇したという経験を語ってくださった。このご発言は、仕事にやりがいを感じ、些細な出来事を大切にしておられるからこそのものだと思った。
入所期間が長いかたにも短いかたにも毎日を快適に過ごせるためのケアが行なわれることはもちろんのこと、ケアをする職員も、新人への教育や職員間の情報・意見交換をよりよく行なうことが求められるのだと思う。入所者だけでなく、職員も快適に過ごせる空間が保障されることが、職場には必要なのだろうと思った。(後略)


今中部長さま、ありがとうございました。利用者とスタッフのみなさま、お邪魔しました。そして毎年、私どもの見学のお願いの調整をしてくださっている向井事務部長さま、寺田所長さまはじめ職員のみなさま、ありがとうございました。
(了)

第5回 11/25(火)児童単独通園施設 洛西愛育園

第5回 児童単独通園施設 洛西愛育園(京都市、初訪問)

<第5回訪問記>
発達障害幼児の通園施設・洛西愛育園を訪問しました!

2014年11月25日(火)、京都市西京区にある発達障害幼児の通園施設・洛西愛育園にお邪魔しました。今回は、「興味があるのでぜひ一緒に見学させてください」と私の研究室を訪れた経済学部・川田先生のゼミの男子学生3名も同行しました。

洛西愛育園には、川畑ゼミとしてはじめて訪問させていただきました(幼児の通園施設自体が初めてでした)。大学から高速道路を使えば25分くらいで着きました。何らかの発達に関する障害のある就学前の子どもさんが通い、療育を受けています。

まず、大橋園長先生から施設の概要についてお話をうかがいました。そして園内を案内していただき、各部屋でさまざまな活動に取り組んでいる子どもたちや先生がたの様子を見せてもらいました。また、プレイルームでは子どもたちと一緒に遊ぶ機会も作ってくださって、学生たちは最初ちょっと戸惑っていたものの、次第に子どもたちに手を引かれて遊びの輪に入り、一緒に笑顔ではしゃいでいました。そういった学生たちの様子も私には新鮮でした。

ひとつ、お詫びをせねばなりません。今回は写真を撮らせていただくのを忘れてしまいました。というか、カメラを忘れたことに気づいて慌てて園舎の全景でもとケータイで1枚撮ったのですが、保存されていませんでした。洛西愛育園のホームページwww.eonet.ne.jp/~r-aiikuen で、元気な子どもたちの様子等をごらんください。

学生たちに訪問体験を語ってもらいます。提出されたレポートの中から2編(一部を抜粋)を掲載します。


学生のレポート①

心身発達に制約をもつ3歳以上の就学前幼児を対象とした児童発達支援センター・洛西愛育園では、通常の保育園や幼稚園で分けられているような年齢別クラスではなく、言語発達に制約をもつ子ども、運動機能発達に制約をもつ子ども、人間関係や集団行動に制約をもつ子ども、遊びに制約をもつ子ども等、1人ひとりの園児がもつ発達レベルに応じたクラス分けがなされている。そして、発達に制約をもつ子どもたちが自らのもてる力を発揮し、次のステップへ進めるよう援助することを療育の基本方針とし、日々子どもたちと過ごしておられる。そのために、個人の活動テンポ・活動量を尊重し、安心感のもてる人間関係、肯定的な環境(「ダメ」と言われない環境、わからない・できないことが要求されない生活、「~いや」「~したい」という自己主張が受け入れられる生活等)での生活、他者との折り合いがつけられる生活、感情の豊かさなどを重視しながら、発達特性や障害特性を配慮しつつ全面発達を促す日常活動を組み立てていることを、園長先生から教えていただいた。
施設のなかを見せていただいて、「扉を開けてください」というカードを子どもたちが先生に渡すようになっている部屋や、身体を動かしたり感覚を楽しんだりするような遊びの部屋があったりと、心身の発達に課題をもつ子どもたちのいろんな力を育む工夫がさまざまになされていて、とても興味深かった。
実際にプレイルームで子どもたちと遊んだが、子どもたちが夢中でホントに楽しそうな姿がとても印象的だった。心身に発達課題を抱えているのかどうかがわからないくらいで、そんな遊びの場所がとても素敵に思えた。(後略)


学生のレポート②

(前略)10か所ほどの教室があり、人とのコミュニケーションをとるのがむずかしい子どもが集まる教室や、運動の発達に支障がある子どもが集まる教室等、子どもの発達課題別に教室が分かれていた。園内の雰囲気や様子は、ごくふつうの幼稚園や保育園と変わらなかった。イラストやキャラクターが多く、教室の扉にアンパンマンやショクパンマンのイラストが貼ってあった。子どもにとって教室の目印になっているのだ。そういった非言語的コミュニケーションがうまく使われていると思ったし、子どもたちの感覚神経を育てるために音や光や触覚を経験させることに重点をおいた部屋も用意されていた。(中略)子どもたちと遊んだが、子どもたちにも先生がたにも笑顔が多かった。私たちのところにも子どもは駆け寄って来てくれた。(後略)


大橋園長先生、ありがとうございました。先生がた、そして子どもたち、お邪魔しました。
(川畑 隆)

第6回 12/02(火)障害者支援施設 松花苑みずのき

第6回 障害者支援施設 松花苑みずのき(亀岡市)

<第6回訪問記>
障害者支援施設「松花苑みずのき」にお邪魔しました!

2014年12月2日(火)の午後1時から2時30分まで、亀岡市にある、社会福祉法人「松花苑」の障害者支援施設「みずのき」を訪問させていただいたのは、3回生川畑ゼミの6名と川畑でした。

「みずのき」は、知的障害のある利用者1人ひとりのもつ障害の特性をふまえ、その人にあった様々な活動プログラムを提供しておられます。そのうちの1つ、美術指導から生み出された利用者の作品は国際的にも高く評価され、亀岡市内に「みずのき美術館」(アール・ブリュットの作品…正規の美術教育を受けていないつくり手によるもの…を紹介することを基本に据えている)を開館するまでに至っています。

施設の紹介ビデオを観せていただいたあと、主任の中村先生が概要を説明してくださいました。そして、施設内を案内しながら、中村先生は学生たちからの質問にも丁寧に具体的に答えてくださいました。

利用者のかたがたからも歓迎を受け、声をかけていただきました。中村先生から促されて、名刺をもらうのがお好きだという高齢の利用者のかたに私が名刺を差し出すと、とても喜んで受け取ってくださいました。

午後ののんびりした空間・時間のなかに、利用者と職員のかたがたは思い思いに優しい関係を繰り広げておられました。温もりのある木でおおわれ、明かり取り窓などが工夫された生活空間、そこにはできるだけ家庭生活に近づけるようなさまざまな生活上の配慮がなされていました。

さて、訪問体験を学生たちに語ってもらいます。提出されたレポートの中から2編(一部を抜粋)を掲載します。


学生のレポート①

(前略)みずのきでは知的障害者の生活支援を行なっています。利用者のみなさんは毎日を淡々と過ごすのではなく、農作業をしたり植物を育てるなどの園芸や、絵を描いたり、生け花をしたりとさまざまな活動をして日々を過ごしています。また、障害者に対する理解や親睦を深めるために地域の人たちとお祭りを開催しています。実際に施設内を見学すると、段差がほとんどありませんでした。外の景色をいつでも見ることができ、壁には利用者のみなさんが描いた作品が飾られて、明るい雰囲気を作っていました。各々に編み物をする人、園芸を楽しむ人、テレビを観る人など、それぞれが自分の時間を楽しんでおられました。(中略)印象に残ったのは以前あった地域からの偏見に関することです。障害者に対する理解の低さがあったからでしょう。実際に利用者さんに会ってみると、みなさんお元気で、名刺の大好きなかたがおられたり、挨拶をするのが好きなかたがおられたりと、とてもユーモラスで、不愉快になるようなことはひとつもありませんでした。(後略)


学生のレポート②

(前略)定型発達者と呼ばれる私たちは、その成長の度合いに応じて他者から期待される。そして期待に応えるべく努力し、その努力が他者から評価され報われて、自分に自信がつく。仮にその努力が報われなくても、別の新たな他者からの期待が向けられ、また努力に励む。しかし、重度の障害をもった人に対して周囲は期待しない。期待しないということ自体がすでに制約的であり偏見である。みずのきでは、まず障害をもった人に対して期待をしている。掃除をしてもらうことで「自分がしたくないことでも成功すると評価される」「きれいになると心地よい」といった意味を理解させようとしている。できないと決めつけて何もかも一方的に世話するのではなく、できることはさせるようにする姿勢の大切さを実感した。


中村先生、そして利用者のみなさま、職員のかたがた、ありがとうございました。施設長の沼津先生、今回も訪問実習を受け入れていただいてありがとうございました。
(川畑 隆)

第7回 12/09(火)なんたん障害者就業・生活支援センター

第7回 なんたん障害者就業・生活支援センター(亀岡市)

<第7回訪問記>
なんたん障害者就業・生活支援センターを訪問しました!

2014年12月9日(火)、今年度の対人援助現場訪問の最後として、亀岡市にある、社会福祉法人「松花苑」の「なんたん障害者就業・生活支援センター」に行ってきました。

「なんたん障害者就業・生活支援センター」は、京都府下の6つの圏域にひとつずつあるセンター(それぞれ都道府県知事が指定する社会福祉法人等により運営されています)の南丹圏域を担当するところで、障害者の居住する身近な地域で、ハローワークや地域障害者職業センター等の関係機関と連携しながら、就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に実施しておられます。

もっと簡単に言えば、障害者のかたと事業主との間に立って、障害者の就業や生活がうまくいくような調整活動を行なっておられる(ジョブ・コーチ)のです。

センター長の小林仁先生から、ビデオを用いたわかりやすい業務の説明をいただいたあと、当事者の木村俊幸さんが私たちのためにお仕事の制服姿で駆けつけ、体験談などを聴かせてくださいました。学生たちからの質問にも丁寧に応えていただいていました。

木村さんは、京都府立丹波支援学校高等部を卒業後、作業所を経て就労されていましたが、仕事面でうまくいかないことがあり退職、現在は株式会社「みんなではたらく」の「たのしくはたらく」という就労継続支援A型事業所で、一日に4.5時間、一週間に5日間の野菜作り中心の業務に就いておられます。現在44歳です。

そのお話しぶりやご様子から木村さんの真面目さや丁寧さがよく伝わり、お話の内容(いろんなご体験やその時のお気持ちなど)もその印象に違わぬものでした。今のお仕事や生活がとてもうまくいっておられるようで、私たちも嬉しく思いました。

就労とその継続や生活について木村さんは努力し、小林先生たちはサポートに尽力してこられたわけですが、おふたりのやりとりを聴いていると、小林先生が木村さんのことを知り尽くし、木村さんも小林先生を信頼しておられるのが、よくわかりました。

訪問体験を学生たちに語ってもらいます。提出されたレポートの中から2編(一部を抜粋)を掲載します。


学生のレポート①

(前略)なんたん障害者就業・生活支援センターは、障害をもつ人たちが自立することを目標に、就労や生活面をサポートするため、国や自治体からの委託を受けて全国に設置されている障害者支援機関である。就労するための準備や就職活動、就職後の職場定着をめざした活動など、他機関と連携しながら労働や生活をサポートしておられる。このセンターを訪問し、さまざまな話やビデオを視聴することができた。それらをとおして、障害をもった人たちの就労をどうサポートしていくか、就労できたあと、どのようにサポートしていくことが必要かについて知ることができた。そして、実際にこのセンターを利用しているかたのお話を聴いた。就労には多くの課題のあることや、このセンターを利用したことによる環境と心境の変化などを聴くことができた。「今の仕事は楽しい」とおっしゃるのを聴いたときには、このようなサポートが必要不可欠であることを実感した。(後略)


学生のレポート②

(前略)センターでは、利用者が就労を志す際に、働くために必要な準備や方法を共に考え提案し、障害者職業センター、職業訓練校、就労支援事務所などの紹介や利用手続きの手伝いをします。また、面接セミナーやビジネスマナー講座を企画開催したり、職場見学や実習、ハローワークへの橋渡しを行ないます。事業所へのサポートとしては、障害者雇用に関する各種助成制度の紹介、雇用に関する相談、必要に応じて職場を訪問しての就職した人のフォローなどを行なっています。(中略)木村さんとおっしゃる、このセンターをとおして新たな仕事場を見つけたかたのお話をうかがいました。そこで出会った仲間と共に野菜を育てたり、一緒に会話をしたり、とても有意義に過ごせているというお話を聴くことができました。そして、畑仕事で爪が黒くなっているのを見て一生懸命にお仕事をされている姿が浮かび、自分のことを理解し、受け入れてくれる職場があって本当によかったなと思いました。笑顔で話してくれる木村さんが、とても輝いて見えました。(後略)


小林センター長さま、お忙しいなか、お世話になりました。木村さん、ありがとうございました。お仕事頑張ってください。
(了)


さて、川畑ゼミの今期の対人援助現場訪問がこれで終了しました。対人援助に興味をもつ学生が社会福祉の現場の空気に触れ、そこで生活する人たちと働く人たちの交流を垣間見ることによって、何らか心が動く、そして そのことをとおして自分のことも考えるような、そんな体験になることを願って実施したのですが、その成果は目に見える形で表れるのではない部分も多く含むように思います。目に見える形でも表れてほしいとは思いますが、それは学生たちに任せることにしましょう。

毎回、大学のマイクロバスで私たちを各施設まで運んでくださった運転手さんに感謝し、今期の対人援助現場訪問、そしてご報告を終わります。
(川畑 隆)