社会調査、放送、マスコミ、広告、デザインなど、さまざまな特性をもつ社会学やメディアの知識・技術を駆使して、メディア社会学科の学生たちはつねに新しい発見を追究し続けています。社会や地域の最前線から発信される、彼らの成果を紹介します。

 
聞き取り調査の成果をまとめた「社会学調査演習報告書」 社会調査 Social Investigation 社会の中で活躍する、人生の先輩たち。その仕事や働き方を取材して、将来の「シゴトのシカタ」をキャリアアップ!

聞き取り調査の成果をまとめた
「社会学調査演習報告書」

人間文化学部では2004年度から、2年生を対象とした授業「社会学調査演習」を開講しています。私たちが暮すこの社会の動向を知るために、さまざまな方法や目的で「社会調査」が広く一般に行われています。その専門家に与えられる資格として「社会調査士資格」(社会調査士資格認定機構)があり、「社会学調査演習」はこの資格を取得するために必要な科目の一つともなっています。

「社会調査」には、数を扱う統計調査や、質問事項をまとめた調査票(アンケート)調査、インターネットを使った調査、聞き取り(インタビュー)調査などの手法があります。授業では4つのクラスに分れ、それぞれの担当教員の指導の下で、実際に社会に飛び込んで、自分自身のアタマとカラダを使った調査を体験します。

そのひとつ、黒木雅子教授が主催する「黒木ゼミ」では、「先輩に聞く、私の仕事・働き方」をテーマとした聞き取り調査を行ってきました。対象は、家族や親戚、学校の恩師、アルバイト先やゼミ、クラブの先輩など、比較的身近な男性・女性ですが、その年齢層は19歳から85歳まで、幅広く及んでいます。

それぞれの聞き取りは約1時間。テーマと調査対象者(インフォーマント)を決めたら、アポイントメントをとって聞き取りを行います。これを文章化し、分析を加えて報告書を作成、記録として残すとともに、協力いただいた方々へ配布します。

聞き取りがアンケート調査と大きく異なるのは、表情や手の動きも加えたライブ感のあるやりとりと、その情報量の多さです。インタビューを通して聞き取った先輩たちの仕事や働き方に学ぶとともに、彼らと直接向き合う調査のプロセスを通して、自分自身の将来の仕事のよりよいありかたも見えてくるに違いありません。

「政治家秘書の仕事とその環境について」  上山貢平+澤村和則

「政治家秘書の仕事とその環境について」 調査概要 上山貢平+沢村和則

  1. 調査目的 資料だけではわからない政治秘書の仕事の内容とその環境(政界)について生の意見を聞き自分たちの視点を踏まえたうえで政界の真実を明らかにする。
  2. 調査内容 1.Tさん20代男性 2.衆議院私設秘書 3.聞き取り調査 4.2011年7月30日 5.京都学園大学Y33
  3. 調査結果(Q&A)1.秘書になったきっかけについて
    1. なったきっかけ
      祖父がある党の仕事をしていてそのとき、政治家のN氏の秘書に公民を教えてもらい、そこから政治に興味を持ち始める。そして、2009年の夏の衆議院選挙で自らの意思で市議会を通して、ある代議士(K氏)の秘書になった。
    2. 秘書になる前に目指していた職業は
      特になし。
    3. 政治に興味を持ったのはいつか
      中学生のころ※詳しくは1参照 [以下略]
  4. 結論
    政治秘書という仕事を通じてであるが、メディア報道だけではわからない政界の動きや現場でのやり取りというのがわかった。特に今回インタビューした私設秘書のTさんは末端にいる人なので、学校で習うような政治学にはでてこない現場での仕事の内容、政治家や官僚との付き合い方などを教えてくれた。また政治秘書になるためにはどうすればいいのかがご自身の経験談を踏まえ話してくださったので今後の就職活動において参考となった。
    またもう一つ今回のインタビューでわかったが、一口に政治秘書といってもその中身は大変複雑なものであり、私設秘書であっても色々な種類があり、国会議員一人一人によって特色もある。そのため今回わかったことはあくまで、政界という大きな本棚中にある一冊の本にすぎず、深く知るには今後も調査が必要であると考える。そのためもし政治秘書あるいは特定の政治家に対するサポーターとして活動する場合は、その政治家の詳しい調査は絶対におこなうべきである。
  5. 『2011年度 社会学調査演習報告集 8号』より

「看護師一筋三十年」 調査概要 山田康嗣

  1. 調査目的 男性看護師の職業の実体を明らかにし、男性ケアワークの進出に伴い生じる男女差や時代によっての違いを、三十年以上男性看護師として勤務しているYさんに聞き取り調査する。
  2. 調査内容 調査対象者:Yさん50代男性看護師(准看護師) 調査場所:自宅 調査時間:1時間30分 対象者の勤務先:K病院(岡山県M郡唯一の精神科病棟)、病床数200床、入院者数197名
  3. 調査結果[抜粋] 〈4〉男性看護師について
    4-9 Q:
    男性看護師の環境について時代と共に変わっていることはありますか?
    A:
    まあ今はどんどん若い人を募集してるわな。昔僕らの頃は募集してもなかなかな、男性看護師になってやろういう人は少なかったわな。
    Q:
    そういう意味ではやっぱり女性の仕事っていう意識があったんでしょうか?
    A:
    それがだんだん無くなって来たというんかな。男性でないとできん職業でもあるし、精神科だけじゃのうて内科もある。さっきも言ったけどオペ室があったり、透析があったり、内科でも男性の看護師さんもおるしな、今は。昔は少なかったんかな? じゃけん重宝されよったかもしれん。
    Q:
    仕事の内容で昔と変わった事はありますか?
    A:
    じゃけんその、昔九州おる時は、今ほど処置とかしてなかったから。
    Q:
    注射とかですか?
    A:
    注射、まあ注射? どうじゃったかなあ?
    Q:
    複雑化してるってことですか? 看護師の仕事が。
    A:
    じゃから、今の看護師さんのほうがちゃんとしてるわね、いろんなこと。じゃけど昔はな、普通の記録とかが主じゃったもんな。
     
  4. 結論と考察
    かつて男性看護師に求められていた肉体労働や機械の操作等の能力的に男性が優位とされていることが、近年は男性看護師の有用性として「男性」の視点をケア労働に活かすなど精神面でのサポートが期待されていると言われている。しかし今回の調査は現在でも男性看護師が職場で期待されていることが肉体労働や機械操作等で、以前とあまり変化はないことが示唆された。
    Yさんが准看護師免許を取った時と現在の看護士教育の質や内容は異なり、現在は幅広く複雑になっている。若い男性看護師を調査すれば職場や仕事に携わるうえでの男女差異について違った答えが聞き出せるかもしれない。また働く診察科目の違いも調査の結果に大きく反映されると思う。(補足:対象者は調査者の父、調査者は一年だけではあるが看護科高校に通っていた)

『2011年度 社会学調査演習報告集 8号』より

「政治家秘書の仕事とその環境について」  上山貢平+澤村和則

「働く女性の生き方」 調査概要 山下直也

  1. 問題提起 男女差別や雇用機会が平等でなかったりした環境が近年見直され、働く女性を取り巻く環境は、大幅に変わってきていると思います。当の女性たちは、実際にどのようなことを考え、社会生活をおこない、どのような形で自己実現を望んでいるのでしょうか。
  2. 仮説 私の立てる「働く女性の生き方」の像は、「自立型」と「規範型」の大きく二つに分けられます。自立型の仮説:社会に働きながら過ごす中で、自分のやりたい仕事や地位、やりがいに価値を見出し、自己実現のために頑張る女性。規範型の仮説:働いてはいるが、いずれは結婚し、出産し、家庭を持ちたいと考えている、家庭を築く事に価値を見出し家庭を持つことで自己実現を果たそうとしている女性。こうした二つの仮説ともに結婚したい、できれば結婚したい、という考えを持つ人が多いのではないだろうか。
  3. 調査計画 4つの大項目からなる20の設問を設定した。しかし、これに関わらず被調査対象に自由に語りをしてもらう。聞き取り調査日時:2010年11月6日PM18:00~20:00、年齢26歳、女性、佐賀芸術大学卒業、奈良在住、職業DTP編集、未婚。
  4. 調査結果[抜粋]結婚について
    1. 現在結婚は現実的な課題であるか
      働き出したころは現実味はなかった上、ひとりで生きていこうと考えていたそうだ。しかし年齢を重ねるに連れて、少しずつ現実的な課題になってきている。
    2. 年齢的に理想とするタイミングはあるか
      29には結婚したいらしい。
    3. 相手に求めるものは何か
      経済力もそうだが、価値観や思いやりを求めるようだ。
    4. 結婚したとして、仕事は続けるか
      結婚後、正規社員として働くのではなく、パート・アルバイトの形で働きたいらしい。出産後、子供がある程度大きくなるまでは主婦として過ごしたいようだ。
    5. 結婚したいと思いか
      結婚はしたいと考えているよう。
  5. 調査結果の考察 調査を実施してみて初めて分った事と、仮説通りの部分が混在する。彼女は仮説の部分で述べた、二つの女性像で、規範型に近い考えを持っていると感じた。
  6. おわりに
    反省点として、聞き取りをとても人の多い場所で行ってしまったため、テープ起しに手間取ってしまったこと、会話が中断してしまう場面があったことが挙げられる。最後に感想として、自分の立てた仮説と、実際に聞き取り調査をしてみて得た事実、その差に何度も驚かされ、とても考えさせられました。今回の経験を生かし、自分の就職活動に役立てることができればと思いました。

『2010年度 社会学調査演習報告集「私の仕事・働き方」』より

映像作品 Movie Work 巨大な校舎を消す「亀岡の霧」。その不思議な光景の秘密に、学生目線で迫るドキュメンタリー映像作品。

「メディア基礎演習」共通課題
――ドキュメンタリー映像作品「亀岡の霧」

京都・丹波地方は、大学が位置する亀岡市をはじめとして、霧が多く発生することで知られ、「丹波霧」とも呼ばれています。とくに毎年11月から1月にかけては深い霧が発生し、キャンパスでも不思議な光景が見られます。京都学園大学のシンボルとして、ひときわ高くそびえ立つ11階建ての巨大な校舎、「バイオ館」がすっぽりと霧に包まれ、幻想的なイメージを醸し出すのです。

この時期、学生たちの間では「バイオ館が消える!」という噂が飛び交います。これを耳にした沖縄からの交換学生が、実際どのように消えるのか自分の目で確かめたいと思い、「メディア基礎演習」のゼミ仲間と一緒にそのようすをカメラに収め、作品にしようと企画しました。

沖縄では見る機会のない霧。それがバイオ館を覆い隠してしまう光景は、彼女の目にどう映ったのか。専門家による霧が発生するメカニズムのインタビュー取材を交えながら、学生の目線で「亀岡の霧」の実像に迫ったドキュメンタリー作品です。

なおこの作品はラジオ番組として再編集され、2010年にKBS京都ラジオでオンエアされた帯番組「京都・丹波 Do!たんばRadio」の記念すべき第一回作品ともなっています。(「メディア基礎演習」講師:近藤晴夫准教授)

「今の季節 バイオ館が消える!亀岡の霧」

ディレクター:謝花友子/カメラ:知念夕貴/編集:渡邊諒祐、玉井沙織/撮影協力:小川由美子さん、演劇部の皆さん/BGM:ノタの森

 

大学紹介映像作品
「Why don't you do your best?」

どんなときだって全力投球。
だからこそ、キャンパスライフは楽しくなる。
そんなメッセージを伝える大学紹介映像。

作品タイトル
「Why don't you do your best?」  中根直也
キャッチコピー
「本気って楽しい。」
概要
近頃の世の中、何事に対しても本気さが足りてないのではないだろうか。とくに若者を見ているとそう思うことが多々ある。むしろ、本気になる事が格好悪い。そんな風に思っているように思えてくる。しかし、本気が格好悪いわけがない。人は本気で何かに取り組むことで、初めて成長できるのだ。そこで、本気なることの大切さを伝える映像作品を制作した。また、缶蹴りをモチーフにしたのは、子供の遊びの定番であり、何も気にせずただ楽しんで遊んでいた子供の頃を思い出してもらい、「童心を忘れないことの大切さ」というこの映像のコンセプトを伝えるためである。
キャッチコピーのねらい このキャッチコピーにしたのは、「楽しい」という思いがすべての行動の原点であり、始まりと考えているから。また、コピーを短くシンプルにすることで、視聴者にメッセージがストレートに伝わり、さらに「その先のメッセージ」を、この映像を見た一人ひとりが読み取り、それぞれの解釈をしてもらうためである。
ターゲット
学生(とくに大学生、京都学園大学生、高校生)、衣服が汚れることを嫌う人
制作に関して
この映像は臨場感を出すことがポイントになる。そこで、あえて手ぶれさせる、短いカット数を多くする、BGMをサスペンス調にするなどの工夫をした。締め切りまで日数が少なく出演者を集めるのが大変で、結局友人たちにお願いした。撮影日は一日しかとらなかったが、編集時に「もっとこういう映像がほしい」「違う角度で撮った方が良かった」という反省も多く、撮影日は何日かとっておいたほうがいいと思った。臨場感を出すための手ぶれ撮影は、完成後に見てみると少しやりすぎだった。最初のシーンに面白みが薄かったので、軽いアクションを入れるなど、もう少し大袈裟なことをしてもよかったと思う。タイトルの「Why don't you do your best?」は、和訳すると「なぜベストを尽くさないのか?」となるが、これはそのまま視聴者に問いかけたい言葉であると同時に、私の大好きなテレビドラマ「TRICK」でよく使用されている言葉で、ちょっとした遊び要素である。

監督・脚本・撮影:中根直也
出演者:林謙太郎、岡田芳彰、古川元樹、今岡愛美、酒井あずさ、町支知弘、橋本千枝、古部晃規
撮影場所 京都学園大学

日本の夏を彩る「京すだれ」ドキュメント映像

日本の夏を彩る「京すだれ」製作のようすを描いたドキュメンタリー映像が、メディア社会学科学生の手で制作され、2013年9月、イギリスで開催されたデザインフェスティバルで紹介されました。

曽我裕貴さんと櫻井大督さん(ともにメディア社会学科2回生)は、亀岡市並河にある「川﨑京すだれ」での京すだれの製造の模様を撮影し、作品を完成させました。
創業50年の歴史を誇る川﨑京すだれは、従業員7人でヨシや御形など多種にわたるすだれの素材を使い、日本の伝統技法で数々の商品を制作販売しています。
二人はお店兼作業場を何度か下調べした後、8月に撮影を開始、内容はすだれの制作工程と商品の数々、それにすだれの魅力をインタビューとナレーションで構成しています。

すだれは日除けに使用される生活必需品ですが、インテリアとしても国内外から注目を集めています。制作に協力くださった京すだれの親方、川﨑音次さんは9月17日、「ロンドンデザインフエスティバル・TENTLONDON」展に出演し、英語字幕つきのこの映像を流しながら自らプレゼンテーションを行いました。川﨑さんは「私たちが今まで培ってきた技術を簡潔に表現していただいて喜んでいます。ロンドンに精一杯、日本の持っている心が伝われば」と語っています。

制作した曽我さんは「亀岡で受け継がれている日本の伝統と現代的に工夫された技法、すだれの魅力が少しでもイギリスの人に理解されればうれしい」と話していました。

 

メディア専門演習 卒業制作
「リアルな空気感」を追求した映像作品
──映画「田中くんと斉藤さん」

メディア専門演習ではゼミ生自身が自分のめざす作品を作ったり、ときには企業や行政などの依頼主(クライアント)の要請に応じて映像作品やウェブサイト、パッケージデザインなどの制作を行ったりしています。
この作品は、現実にはありえない設定や劇的なストーリーといった既存のドラマや映画がもつ「わざとらしさ」に疑問を持ち、フィクションでありながら、人生や生活の鮮明なリアル感を醸し出す映画を撮ろうと、映像制作を続けてきたゼミ生が企画、脚本、撮影、出演、編集をこなし、同じゼミの学生の共演を得て完成させたものです。
この作品では、就活を前にした大学生の家にとつぜん住みついてしまう何もできない男性の「天使」と大学生との奇妙な共同生活が淡々と描かれ、現代を生きる若者の日常に漂う微妙なやるせなさをうまく醸し出しています。
映像制作にはカメラや編集の技術とともに、企画や脚本への独自の構想力、メンバー同士のコミュニケーション、それを統率するリーダーシップなどさまざまな力が求められます。映像制作を志す人には内外の多くの映像作品をよく見るとともに、自分たちの脚本や演出、演技や編集について、メンバー同士徹底して話し合い、納得のゆく作品づくりをしていくことが求められるでしょう。

映画「田中くんと斉藤さん」(2012年度卒業制作作品)

21分/カラー/監督・脚本・編集:中根直也/出演:中根直也、津村朝光/撮影:中根直也、津村朝光
協力:メディア社会学科・君塚洋一ゼミのメンバー

制作用企画書
中根直也「『リアルな空気感』を追求した映像作品──フィクションとノンフィクションの融合を」

 
グラフィックデザイン Graphic Design 経営学部生が経営する実験ショップ「京學堂」。スイーツを頬張る友だちを撮り集め、共感をよぶポスターづくりにチャレンジ!

本学の経営学部では、2010年度からキャンパス内に、実験ショップ「京學堂」をオープンさせています。これは「経営知識の習得・実践を通じた就職力強化と教員の指導力アップ」プログラムの一環として行われ、文部科学省が主催する「大学教育・学生支援推進事業(学生支援推進プログラム)」として採択されています。

学生自身が企画し運営するこのショップは、学部内のビジネス・プランニングコンテストで選ばれたアイデアをもとに展開され、学生たちの起業へのステップボードとして、経営や店舗運営のノウハウを身につける生きた教材となっています。取扱品目はアパレルとスイーツ。商品企画から仕入れ・製造・販売と、すべてが学びの機会です。

今回、メディア社会学科の広告制作実習ゼミの3名は、そのテーマとして「京學堂」スイーツ部門の広告制作をとりあげました。制作はまずショップのスタッフと話し合いを重ねて、店のイメージや伝えたい特色を明確することから始められました。そこで得られた「親近感」というキーワードから、利用者の共感をよぶヴィジュアルやメッセージが考えられ、スイーツを頬張る学生たちの豊かな表情が並ぶ、ユニークなポスターができあがりました。お店のスタッフと広報宣伝を担当するグラフィックデザイナー。ここでは実社会とまったく同じかたちで、学部間のコラボレーションが実現しています。

経営学部生が経営する実験ショップ「京學堂」。スイーツを頬張る友だちを撮り集め、共感をよぶポスターづくりにチャレンジ!
 

京都学園大学にある学生運営のショップ「京學堂」の広告

京都学園大学にある学生運営のショップ「京學堂」の広告
ポスター制作の検討をするメンバー
京都学園大学にある学生運営のショップ「京學堂」の広告
制作風景
 
目的:
京學堂の集客率アップ。
考え方:
アンケートの結果に基づき、京學堂の認知度を利用した広告作成。「知ってはいるが、行ったことのない」人をターゲットとし、学生ならではの親近感をプッシュする。
表現案の仕様:
京學堂は確実に学生に認知されていたので、細かな情報は一切排除。これは、広告を見て京學堂のことをするのではなく、広告を見て京學堂のことを話してもらうのが目的。どこにあるのか、値段はいくらなのか、京學堂の認知度、学内だからこそできた広告だといえる。「友だちが食べているものはオイシそうに見える」。学生が学生同士、お菓子を食べている様を、学生当人に撮影してもらうという方法で写真を集め、親近感を持たせた。感想も、「うまい」「やばい」ctc……素の感想を素のまま掲載。
掲載場所:
たむろできる場所、食が提供されている場所を中心に掲載。小腹がすいた人に注意を持たせるため。広告をネタに話を広げてもらうことを期待して。――企画書より
 
とことん話し合うことから、伝えるべきメッセージが見えてくる。  宮平駿也
キャンパスにポスターを掲示

とことん話し合うことから、
伝えるべきメッセージが見えてくる。  宮平駿也

ゼミの制作を「京學堂」スイーツ部門の広告と決め、まずお店の「重役」にアポを取って話し合いの場をもちました。実際会って話してみると、授業でやってるお店だし、この段階では何を売り出したいのか、これからどうするのか、今後の経営の方針が必ずしも明確に打ち出されているわけではありませんでした。そこで利用者である学生の印象を調査すべくアンケートを実施。ほぼ100%の認知度がある割には、行った人は少ないという結果をお店に伝え、さらに話し合いを重ねて、ようやく「親近感」というキーワードにたどりつきました。

これをどう表現したらいいか? と考えを詰めていき、「友だちが食べているものはオイシそうに見える」ということから、スイーツを頬張る表情を友達同士で撮ってもらった写真を集めて、ポスターを制作することにしました。コピーは「うまい」「やばい」など、素の感想をストレートに表現。アイデア担当、制作初案担当、お店とのパイプ役と、メンバー3人の役割分担をしっかり果たすことで、完成させることができました。

制作で重要なのは、集まって話をすること。相手が何を考え、何がしたいのかを知ること。そのためにとことん話し合うこと。課題の提出期限に少し遅れたことは悔やまれますが、そうした失敗もまた学んだことの一つです。

亀岡市公式ホームページリニューアル提案

京都学園大学が位置する京都府亀岡市。2011年秋に同市がリニューアルする公式ホームページのあり方について、本学科の君塚洋一准教授は広報・広告の専門家としてアドバイスを行ってきました。このリニューアルプロジェクトに、3回生「メディア専門演習I」君塚ゼミの6名も参加し、ホームページを担当する市役所の秘書広報課との意見交換会を開催しています。

京都学園大学は地域社会に貢献する活動の一環として、これまでにも地元・亀岡市とさまざまな連携や共同研究を行ってきました。とりわけ学生にとって亀岡市は勉強や生活の重要な拠点です。季節に応じたまちの自然や魅力を美しいヴィジュアルでアピールする、亀岡市が日本で唯一WHOの認証を受けている「セーフコミュニティ」を市民にもわかりやすく説明する、地元のイベントやボランティアに参加した経験から市民活動を支援する紹介ページを設置するなど、意見交換会では日々の実体験と、学科で学んだメディアの知識やコンテンツ作成の技術を活かした、学生たちの具体的な提案がなされました。また、魅力あるホームページでアクセス数を増やし、それをきっかけに市政にも関心をもってもらう工夫などについても、プロのウェブデザイナーやデザイナーを交えた活発な議論が交わされました。

現在亀岡市では、こうした意見をふまえて制作された新しい公式ホームページが公開されています。

市の職員を交えて行われた「亀岡市ホームページ改修意見交換会」

日時:
2011年7月12日(火曜日)17:00~19:30
場所:
京都学園大学 光風館
出席者:
亀岡市秘書広報課:山内俊房(副課長)、山城一毅(同主事)
ウェブディレクター:松尾淳史/デザイナー:吉田秀成
京都学園大学:メディア社会学科君塚ゼミ生6名、君塚洋一(准教授)
 

一志株式会社ホームページリニューアルデザイン提案

魅力を発信し、広く優秀な人材を集めたい。地元の自動車パーツメーカーの熱い思いを、ホームページのリニューアルで表現する。

京都学園大学から大阪方面へクルマで約15分。深い緑に囲まれた西別院の地に、自動車パーツメーカー「一志株式会社」があります。鉄材を高い圧力で成形する圧造技術では国内トップクラスの実力をもつ同社は、2012年3月、創業80周年を迎えました。これを機に、従来取引先を主な対象としていたホームページを、広く一般の若者にも訴求できるようにリニューアルし、リクルーティングの強化を図ることとなりました。

本学リエゾンセンターは、地域と連携した教育の一環として同社と提携し、2010年度より、経営学部、人間文化学部の学生とともに同社の広報に関する共同研究会を開催、意見交換を行ってきました。2011年には人間文化学部メディア社会学科3回生、「メディア専門演習I」君塚洋一ゼミ中心としたグループが、ホームページのリニューアル案を提案、より具体的に同社との研究会を重ねています。同年6月にはその一環として、学生による工場見学と、2名のベテラン社員を対象としたヒアリングも行われました。

一志株式会社ホームページリニューアルデザイン提案
一志の社員と共に行われた共同研究会
一志株式会社ホームページリニューアルデザイン提案
一志ホームページリニューアルのためのアイデアスケッチ
 

ますます高度化するクルマの技術の中で、一つひとつのパーツの果たす役割はとても大きくなっています。そのためにも広く優秀な人材を集めたいという「一志」の熱い思いが、どうしたら就職活動中の学生たちに届くのか、また、80周年を記念した会社の歴史はどう見せたらいいのか、構成や表現方法、ヴィジュアルの扱い方など、学生ならではのユニークな発想力でさまざまな提案がなされ、これを受けたプロの制作会社の手によってリニューアルが完成しました。

パッケージデザイン Package Design 地元の米と120年の酒づくりの伝統と、バイオ環境学部の先進技術が生んだ新しい純米酒。大学ブランド「大槻並」のラベルをデザインする。

本学では2011年度より、亀岡市西別院大槻並地区と、城下町として栄えた旧市街地で120年の歴史をもつ老舗のつくり酒屋「丹山酒造」との地域連携コラボレーションによる、京都学園大学ブランド清酒「純米酒 大槻並(おおつくなみ)」を製造しています。大槻並地区の棚田と大学構内の田圃で丹念に育てられた、酒づくりに適した米と評価の高い「山田錦」あわせて約30俵(1.8t)を原料として用い、米や水の成分分析は本学バイオ環境学部の学生が担当。さらに同学部で発酵学を専攻する学生が、丹山酒造が指導する酒づくりの工程にも積極的に参加しています。

棚田の風景が残る山里の再生を目的としたこのプロジェクトは、その販売に際してラベルデザインを広く学内に募集し、メディア社会学科の勝谷啓史の応募作品が第2位に選ばれました。ラベルでは、亀岡の清らかな水の流れと亀岡の「亀」がユーモラスに表現されています。四号瓶に詰められた「大槻並」約700本は、1位・2位の2種類のラベルをまとって、各種イベント会場での直販や通販などで発売され、好評を博しました。

パッケージデザイン Package Design 地元の米と120年の酒づくりの伝統と、バイオ環境学部の先進技術が生んだ新しい純米酒。大学ブランド「大槻並」のラベルをデザインする。
公募で第2位となり、2種類ラベルの一つとして採用された勝谷啓史デザインのラベル(左)と製品

つづく2012年度には、大槻並の有志の農家からの「山田錦」2.5俵(150kg)を加え、純米酒とともに、発酵期間を短縮してアルコール度数を8%に抑えた若者や女性向けの低アルコール酒をラインナップ。今回も2つのラベルのデザインが募集されています。「大槻並」の銘柄としての統一感、丹山酒造のほかの製品との親和性、お酒のコンセプト、ボトルデザインなど、さまざまな条件が提示されたこの募集に、勝谷も新たなデザインを携えてチャレンジしています。

受賞の経験を糧に、さらなるチャレンジをしていきたい。 勝谷啓史
勝谷の2012年度応募作品

受賞の経験を糧に、さらなるチャレンジをしていきたい。 勝谷啓史

ふだんの広告制作のゼミはチームワークですが、このラベルは個人制作なので、自分の意見がそのまま作品になりました。とはいえ世の中に出て行くデザインなので、生半可なモノはつくれない。受賞作は豊かな自然と亀をモチーフに制作しました。とくに条件が設定されていなかったのが、かえって悩みどころでした。今年の平成23酒造年度のラベルにも応募しています。今回はお酒の特徴や条件もはっきり提示され、そうした意向に沿うようなデザインができたと思っています。前回採用されたので緊張もありましたが、受賞して、デザインへの取り組み方も変わってきたと思います。これからも学んだことを基盤に、心にゆとりをもちつつ、試行錯誤を続けていきたいと思います。

新しい京都の特産「丹波霧下蕎麦」のブランドとパッケージの試作

京都学園大学メディア社会学科 君塚洋一研究室では、京都府福知山市夜久野町の農業法人、(有)やくの農業振興団との産学連携により、2012年7月から、同振興団が製造・販売する夜久野産蕎麦の新ブランド開発に取り組み、この乾麺、半生麺のブランドとパッケージの試作品を完成させました。
夜久野町では40年前まで蕎麦づくりが盛んでしたが、地元ではかつての伝統を復活させようと2008年より協力農家を募り、一丸となって蕎麦づくりの復興を進めたおかげで、現在では年間約30トンの収穫が得られるようになりました。
新しいブランド名の試作は「丹波霧下蕎麦」。夜久野町は京都府唯一の火山・宝山(田倉山)の裾野に広がる肥沃な火山灰(黒ボク土)の高原にあり、霧の多く発生する冷涼な気候が蕎麦づくりに適しています。信州に代表されるこのような地形・気候下で作られる質の高い蕎麦は「霧下蕎麦」と呼ばれ珍重されてきたことから、薫り高い上質の夜久野産の玄蕎麦(そばの実)から作られる「丹波の霧下蕎麦」の意味を込め、このブランド名が提案されました。
このプロジェクトでは「メディア専門演習」3・4回生ゼミ生、元4回生ゼミ生が、食品業界や一般消費者、蕎麦店主の方々などのリサーチをもとに、新しいブランド名とパッケージのアイディアを検討してきました。15以上のネーミング案を提案、京都のデザイナー・坂田佐武郎氏の協力を得て30近いデザイン案からパッケージデザインの試作が完成しました。
やくの農業振興団では、この蕎麦を丹波の方々はもちろん、京都に来られる観光客に新たな京都みやげとして親しんでいただくことをめざしています。

新しい京都の特産「丹波霧下蕎麦」のブランドとパッケージの試作
新しい京都の特産「丹波霧下蕎麦」のパッケージ

参加した学生の声

「この活動を通してリサーチの仕方や企画書のまとめ方、プレゼンテーションの仕方など様々な力が身についたと思います。最初は、依頼主へのプレゼンなんて本当にできるのだろうかと不安に思っていたのですが、100ページ近い報告資料が完成して今までいろんなことをやってきたんだなと改めて思いました。情報や意識の共有などチームでやるからこその課題にも直面しましたが、本当にたくさんのことを吸収できたと思います。」

「インテックス大阪で行われた食品見本市『フードテック』での夜久野産蕎麦試食アンケート、そば粉のガレットなど蕎麦関連メニューを多彩に展開するカフェ店長さんのヒアリングなど、じつにさまざまなリサーチを経験しました。『フードテック』の449名分のアンケートのデータ入力と集計には本当に忙殺されました。そしてそれを振興団さんに持って行く調整作業も合わせて、エクセルのソフトに詳しいゼミ生のサポートがなかったら……もう少し集計の勉強もしないと、と思いました。」

アニメーション Animation Works 10秒間に80枚以上の絵を動かす。手間と頭をたっぷり使って、基礎と楽しさを学ぶ「アニメ制作実習」。

3日間の集中講義として開講される「アニメ制作実習」では制作の基礎を学び、その技術を活用して7~10秒の作品を各自一本ずつ制作しています。「たった10秒」と思われるかもしれれませんが、アニメでは1秒に8枚以上の絵を使いますから、7秒で56枚、10秒では80枚以上の絵を描くことになります。内容的にまとまっていて、4コママンガのようにオチがついて楽しめる作品をめざしてアイデアを考えることも課題のうちです。ですから実はかなり大変な作業なのです。

最初の2日間は基礎練習です。トレス台を使ってアニメ用紙に絵を描き、それをパソコンに取り込みデジタルペイントで制作していきます。ボールを弾ませる基礎から、自分が作ったキャラクターを歩かせるところまで。歩けばはずみがついて頭も上下します。髪の毛も揺れるでしょう。いろいろなことを計算しながら描けるようになれば、練習次第でテレビアニメのような作品も作れるようになるのです。授業では描くのが苦手な人や、立体アニメを制作したい人のためにクレイ(粘土)を使った練習もします。そして最終日には、絵かクレイを選択して、自分の制作に取り組みます。

アニメの制作はとても手間がかかり、頭も使う作業です。しかしこれを機会に興味を持ってもらい、招来自分の作品をつくる人が出てきてくれることを楽しみにしています。ここでは受講生の作品や練習映像の中のほんの一部を集めてみました。ぜひご覧いただきたいと思います。(授業講師:有吉末充)